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handicraft森の樹の日常をなんとなく。木工のお話も。


by morinoki8
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お木楽屋オープン!

ごぶさたしまくりです。
この間やまほど書くことがあるのですが、もう溜まり過ぎてわけがわかりません。
11月初旬の2週間近い徹夜仕事を経て、はや12月。
ええい、とりあえず結果だけ書いちゃいます!

沖縄でいま一番ホットな場所、北谷町の美浜に手作り木工家具のお店<お木楽屋>を、ゆいむん工房さんと一緒にオープンしました。

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これは、テナントブースの入り口。

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もうひとつの入り口から。
そんなに大きなお店ではありませんが、ダイニングセット、座卓のほか家具いろいろ。

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小物もいろいろあります。

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今日はその「お木楽屋」での店番をしながら、たまっていた事務仕事やらあたらしいブログの立ち上げやらてんてこ舞い。もう外はすっかり夜です。
美浜のシンボル・観覧車

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そして、「お木楽屋」が入居するテナントビル<plaza-f>
この2階に「お木楽屋」があります。


お木楽屋オープン!_e0071811_21265686.jpg


そういうわけで、建物の入り口には立て看板を置きました。
まだまだ、スタートしたばかりでやることが山積みです。
とりあえずは、ささやかなスタートですが、この場所をこれから大きく育てていきたいと思っています。
# by morinoki8 | 2010-12-03 21:27 | お木楽屋

最近のお仕事

また、ごぶさたしておりますが、
いよいよ、”お木楽屋&Cafe Chapter"スーパープロジェクトが具体的に動き出しましたぁ!!!!

ん?それってなんのこと?
そうでした。なんのプロジェクトなのか、全然説明がないのでした。
はい、それについては、たぶん11月に入ってから、後追いでお知らせ&報告いたします。
しばらくは、そのスーパープロジェクトにかかりっきりになると思われますので、その前に最近のお仕事を一挙にご報告。

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木工で独り立ちする前、アルバイトに使っていただいたオーシッタイという沖縄本島の秘境の集落にあるT熱帯果樹園。木工屋として独立してからも、奥様ともどもずっと応援してくださっています。沖縄での大恩人。
そのTさんは、養蜂もされており、看板のご注文をいただきました。琉球松の一枚板です。
看板は、当然のことですが、字を彫るのが大変。見た目の何倍もの時間がかかります。

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こちらの椅子は、同じくオーシッタイの喫茶店「しゃし☆くまーる」のT夫妻からのご注文。別のTさんですが、こちらも沖縄にやって来て以来の長いお付き合い。
ちょうど、別件で、喫茶店の杉の椅子の検討もあったので、デザインの試作も兼ねて。自分でも思っていた以上に低コストで、いい感じの椅子が作れました。
これをこんどは屋外用にリ・デザインします。

最近のお仕事_e0071811_227238.jpg


こちらはいい写真が撮れなかったのですが、楠と栴檀の耳付板の大きな本棚。
以前、漆仕上げのデスクセットをご注文いただいた、米軍医のMさんからのご注文。
耳付板、あられ組、漆仕上げ、の3点をご希望されました。通常ならばそれなりのお値段になるのですが、なにしろこの円高。感覚としては、こちらの出した価格が、ドルに換算すると1.25倍にもなってしまいます。あーだ、こーだの値段交渉の中で、Mさんが
「じゃあ、2台頼んだらいくらにするんだ?」とのことで、ついつい安く見積もりしてしまいました。
でも、高さ2m超え、はば110cmのこの大きさ。材料の消費だけでなく、漆の消費も驚くほどの量。座卓だと6個分くらいの漆を使いました。漆代だけでもで1万円以上かかっています。とほほ。
でも、配達時に美人の奥さんのクリスチーヌさんから、「Oh! very beutifull! wonderful!Thank you Sato!!、Thank you!」と喜んでハグされましたので、まあ、苦労の甲斐がありました。

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こちらは、久々の木馬。HPからのオーダーメイド。
以前、お姉さんが、展示会にてお買い上げいただいたそうです。今回はご自身の1歳の息子さんへのプレゼントに。ありがとうございます。

最近のお仕事_e0071811_2272147.jpg


その前に、こんなのも。
これはmokumokuのお客様から。かわいい怪獣の木馬を、というご注文でした。「かわいい」はクリアできたのですが、どうもこれじゃ犬だな。うーん。なんでかなぁ。

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宵の羽地(名護市北部)。

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こちらは満月の羽地内海。
あー夜釣りしたいなぁ・・・・・。
# by morinoki8 | 2010-10-26 22:12 | オーダーメイド

樹齢ん100年のイスノキ

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立派なこの樹は、イスノキの大木。成長のとっても遅いイスノキですが、根元は直径70cmくらいあります。樹齢200年以上だと思われます。
ご近所のY商事のYさんの実家の近く。畑の日当たりが悪いので切ってくれないか、という依頼。私木工屋ですが、立ち木を切るのが特に得意というわけではない(多分多くの木工屋はそのはず)。なので、伐採のリーダーは、「なんでも土建屋さん」が。私はサブ要員。この大きさの樹を倒すのは、僕には無理。うーとーと、うーとーと(お祈りの言葉)して、樹の命に感謝とお詫び。

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中央奥、マドラス波止場のポーズのオジサンが「なんでも土建屋さん」。手前は「なんでも土建屋さん」の子分の「なんでも左官屋さん」。どちらも皆さんご近所です。
この後落とした枝のお片づけ。小さな枝といえども相当な重量。ほんとに一日仕事でした。熱中症一歩手前。ぜーぜー。

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丸太が工房に運び込まれたところ。一番大きな径の根元は、「なんでも土建屋さん」が三線の棹にするためここには無し。直径60cm*2mの丸太から、たった4本~8本の棹が取れるだけ。もったいないけれども、ここは伐採を仕切った人の権利。仕方なし。涙。でもこの写真の丸太も30cm~50cmの結構なもの。

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で、ゆいむん工房さんとその友人のご協力を得て、製材所に。最初の丸太の中から太い釘が出たので戦々恐々でしたが、釘はこの1本のみ。でも、まだ釘を挽いて傷ついた帯鋸の目立ての請求額が届いていないので、いったいいくら請求されるかは、いまだ、藪の中。怖い。

とはいえ、さすがにイスノキです。ものすごい美しい木目の重厚な板がたくさんとれました。
これから割れや陥没や捻りは相当でるとは思いますが、2年後に材として使えるのがとても楽しみです。
ちなみに、運搬賃や製材費はかかるとはいえ、丸太が上手く手に入ると(いただけると)、市価の1/4くらいに材料費が抑えられます。皆様ありがとうございました。


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工房の前から夕暮れのひと時。夕暮れ時の「限りなく透明に近いブルー」が上手く撮れました(本当のそれは「夜明け前の一瞬」by村上龍&中上健次)。
今回の写真はすべて、ほぼ1ヶ月前の出来事です。
来週からは徹夜を含む怒涛の日々が始まります。どうなるもりもり日記!
# by morinoki8 | 2010-10-17 21:45 | やんばるの自然

グランドスラムならず!

ってまた大げさな。
せめて「サイクルヒットならず!」くらいの話。

いえ、イチローでもマートンでも青木でもありません。
私の木工のお話。

毎年この季節恒例のウッディ・フェア・コンペ。
今年のお題は

アジアの心
琉球の『かたち』
沖縄の『くらし』


また、抽象的なテーマです。まあ、肝は「暮らしのかたち」ですな、こりゃ。あとのアジア、琉球、沖縄はどうにでもなる。そこは「やまと」に置き換えてもそれほどかわらないはず。って書くとウチナンチューの皆様からは叱られるかな?

昨年、一昨年とプラザハウス賞(三席)、総合事務局長賞(準グランプリ)といただきましたが、どちらも(特に昨年は)邪道で。つまりは単なる賞狙いの一品。賞狙いの邪道は、賞を得る確率は高いのですが、実際の商品化にはなかなか結びつかない。要するに「面白いけど売れない」。まあ、邪道は邪道(実は好き)。

なので今年は、真正面から王道で、ついでにいままでいただいたことのないグランプリをいただきませう、と張り切って応募いたしました(今年でこのコンペは最後との話もあり)。

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題して「摺漆琉球松舟形座卓」。
結果は惜しくも、プラザハウス賞。残念。とはいえ三年連続で三賞受賞なので、まあめでたい。
でも、今回は漆の仕上げに手こずりました。
なんどやっても予想外の斑が出来るは、水研ぎで染みは出来るは、漆の予想外の反応に四苦八苦。

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それでもなんどもなんども重ね塗りしてなんとかここまでいちどは仕上げたのです。
琉球松の天板は黒。オキナワウラジロカシの脚は朱。と、首里城をイメージした漆の風合いも出せたと思ったら・・・・・・・・このあと、じゃあ、最後にもう一度重ねようとした時・・・・

うぎゃあー!自らの手で引っかき傷をグリグリと天板につけてしまいました。摺り漆をする軍手の指先に木片が挟まっていたようです。
呆然と立ち尽くし、そして大声をあげ、よよよと泣き崩れる僕。このときコンペ搬入の3日前。傷は、今までの塗装(漆)をすべて剥ぐくらい削らないと消せない。通常の塗装ならいざ知らず。摺り漆だととても間に合わない。
すべてをあきらめつつ、サンダーに120番のペーパーをセットする僕。せっかくの重ね塗り(すでに7回以上)をはがして、もう一度初めから・・・・。

でも、120番のペーパーを当てたとはいえ、充分下塗りとしての漆は生きていました。その後搬入前日まで出来る限り漆を重ね(当日には当然乾かない。審査員の皆様、もしかぶれられていたならら、どうかお許しを!)、最初の写真の状態まで復元しました。

この直前の失敗がなく、漆の風合いを予定通り出せていたら・・・。しかし、どんなに早くから準備をしても、コンペというやつ、いつも最後までバタバタしてしまうのでした。

ちなみに今回のコンペの出品作のなかで僕がグランプリだなと思ったのは

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「木暮らし工房」さんのこの作品。小物ですがデザインも技術も完成度が違います。お皿の内側の底は斜めにカットされています。円形なので何個でも写真のように組み合わせることも出来るし、立てることも。うーん、こういうのは僕には出来ない仕事。参りました。はい。
# by morinoki8 | 2010-10-07 21:59 | 机・テーブル

読書日記から

「もりもり読書日記」に書いた読書メモですが、少し、仕事の話なので、以下コピーを貼り付けます。本は、「日本力 松岡正剛 エバレット・ブラウン著」(PARCO出版)。

尊敬する松岡正剛先生の対談本。図書館で見つけて借りてきて、一気読み。
エバレット・ブラウンさんの名前は知らなかったけど、今後著書を探して読もうと思う。

美しい可能性に満ちた本だと思う。買ってきて家に置いておかなくちゃ。
同時に、場末のものづくりの一人として反省を強いられる耳の痛い言葉もたくさん。いやむしろ、そちらの方が。というのも、今日も卸先を挟んでお客さんとのコミュニケーション・ギャップで小さなトラブルがありました。はい、こちらの事情はたくさんありますが、客観的にみると悪いのは明らかに私です。プロ意識の欠如でした。ってなんの話だ。

以下、ちょっと抜書き


松岡 職人さんの場合でも、このホゾはこのカンナだなとか、このキリだなチョウナだなと選んで、いろいろとニュアンスを合わせてやっていくわけですけれども、そういったことが全部、頭なり体なりに残っていて、その記憶なり蓄積が出てくることで、ものが仕上がっていく。(中略)しかも、どこかちょっと違ったなとか、動きというかゆらめきがあるから、未完成のままで、それが次のものを生んでいく。(p158)

松岡 職人や絵描きたちがひとつのものをつくりあげるのに、どれだけ手間暇をかけてきたのか、ひとつの価値観がつくられるまでに、どれだけの月日がかけられてきたのか。そういったことをとらえる時間の感覚が、日本人はかなり麻痺してしまいました。 (p184)

松岡 ハッといいものができた。なぜできたかわかないけれども、できたという、そういうことが起きる。自分でとりに行くスピードと、やってくる偶然とがピタッと一致する。これがセレンディピティですけれでも、そういった偶然を準備するには、それをうけとるだけの下地、全体のコーディネーションをつくっておかないといけない。日本人は、この下地というものを時間なり手間暇をかけて、しっかりつくっていたと思うんです。
(中略)
 その「手続き」というのは時間と一緒ですから、時間をかけて、手間暇をかけて、くりかえしていないとわからないんですよね。そういうことがとても大事だいうことは、あらためて強調したほうがいいでしょうね。(P192-p193)

ブラウン ぼくが日本の豊かで深い文化や遊び、禅や神道といったものがすきなのは、そこで「自分が消えていく」という体験ができるからです。自我というものが消えて、自然と一体となり、人と一緒になる。自分自身が溶けていく文化とでもいえるでしょうか。
西洋では「個人」や「自我」というものが確固たるもので、それが紛れもなく存在するとされていますが、それは幻想だと思います。この世界の本当の姿は、日本の文化のほうがしっかり、とらえている。「自己」や「自我」といった余計なことにふりまわされない、自然に溶け込んでいくことの出来る「ただの生命体」--ぼくは、その解放感
がとても好きです。(p298)


ものづくりのはしくれとして、「手間暇」を惜しんだための失敗は、10年を超えても日常茶飯事である未熟な僕には、本当に耳に言葉が突き刺さるのだが、いまも、漆の作業をして、「なんでこんなことになるの?」という初めての(失敗の連続の)経験に右往左往している。ここ数日の気温の急激な変化(といっても5度以内だが・・・)のせいなのか、漆そのものの品質のせいなのか、それはわからない。漆芸家ならば、当然理由も対処方法も分かる程度の変化なのだろうが、漆仕上げがすべてではない木工家にとってはまったくの未知の領域。
でも、自然素材と付き合うにはマニュアルは部分的にしか役に立たない、というのは一方で楽しい経験でもある(仕事としては締め切りもあるので気が気ではないのだけれども)。
そういう謙虚さをもって仕事をしないと仕方がないな、と思っている今日この頃。
# by morinoki8 | 2010-09-26 22:05 | 工芸