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handicraft森の樹の日常をなんとなく。木工のお話も。


by morinoki8
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木は生きている?

気分伝感にブログのデザインを変更しました。
秋、ということで。
そういえば、沖縄でも彼岸花を見かけます。うちの近所では、
この秋は、どうしたわけか、先週末から咲き始めています。
ほとんど一月遅れというのはどういうことでしょう。日照時間
で開花が決まっているのだと思いますが・・・。

さてさて、ブログ人気ランキングなるものに登録しておりますが、
ワタクシの順位のご近所に、家具作家を目指す大学生・淡路雄大
さん(君でもいいのかな?)のブログがあります。

つらつら読んでますと、「家具になっても木が生きている、っていうのは
どうも胡散臭い」みたいな文章がありました。「こんなことを書くと先輩方
に叱られるかもしれない」みたいなことも。

僕はまったく同意します。家具になっても木が動いたり、湿度や温度の
微調整をする、ということと「生きている」という事実はまったく別物だと、
僕も思います。
同じように「木の温もり」という表現にも違和感を感じます。木の家具の表
面は明らかに人間の体温より低いです。
では、たんに印象をあらわしているのでしょうか?でも、印象の話だけだ
とするとちょっとつまんない。

樹木というのは、実は不思議な(人間が理解できていない)生物だそうで、
第一、寿命が特定できないそうです。例えば、樹齢2000年の縄文杉とか
数百年の直径12mのクスノキとかあります。もっと古い樹木もたくさん
あるのでしょう。
植物学者さんの本で読んだのですが、「雷や台風、虫やら山火事やら、
外部的要因でたまたまそれ以上生きている樹木が現在存在しない、という
ことで、寿命が2000年、とか、というわけではまったくない」というようなこ
とが書いてありました。
そういえば、伐採した切り株からは芽がでてきてまた木になります(ひこば
え)。倒木の根っこからもまた新しい、芽が出ているのも見たことがあります。
その芽は、新しい命なのか、もともとの樹の命なのか。
人間から見れば、新しい息吹に見えますが、生物学的には、倒木と同じ生
命でしょう。

また、淡路さんのブログでは、生の丸太のナマナマしさにも触れていましたが、
切り倒したばかりの木は、たしかにびしょびしょ、べとべと、ねばねばです。
でも、幹や枝で、細胞単位で生きているのは多分(ごめんなさい。ここは不確
かです)、形成層と先端部(成長点)のみだと記憶しています。
木部は構造として、樹木全体としては、もちろん、「生きた樹」を構成しています
が、細胞として生きているわけではない。とすると、木工屋が使う木部は立ち木
の段階ですでに「生きていない」。

話がどんどんそれていきます。どうしたものか。

結論だけを簡潔にいえば、
「木は生きている」やら「木の温もり」といった曖昧な表現は辞めにしたい、
ということです。
「木の家具は動きます」「木材は湿度の調整をします」「コンクリートやアルミサッ
シの冷たさで健康を害する、という調査結果があります。木造住宅との温度差
は・・・」という簡潔にして正確な表現を使いたいと思います。

その上に、「自然素材はやっぱりホッとするよね」「優しい感じが好き」「キズは
つくけど柔らかいからいい」「俺はこの作品に魂を込めた」という、人の気持ちを
乗っけられたら、と思っています。

今日はとっても理屈っぽい文章になってしまいました。
久しぶりに、建具の製作をしていて、細かい計算ばかりしたせいでしょうか???

こんどは、もっと楽しそうに書いてみます(ように努力してみます)。

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by morinoki8 | 2005-10-18 20:16